土芸工法とは?

〈ロングチューブのアースバッグ工法〉

はじめに


アースバッグ工法の発案者イラン人建築家ネダー・ハリーリ氏は古代中東建築をヒントに、土や粘土、日干しレンガで作る古代建築“adobe”と、今日の建築技術を組み合わすという斬新なアイディアで「スーパーアドービ・システム」という建築技術を考案します。ハリーリ氏は、1991年米国カルフォルニア州スペリア郡にCal-Earth研究所を設立。一見単純なアドービ構造(細長い砂袋に土を詰め螺旋状に積み上げていく工法)の可能性を広げ、洪水や火災、ハリケーン、地震などの自然災害に非常に強く、暑さと寒さの両方を遮断する事を証明してきました。(スーパーアドービの試作品はカリフォルニア州へスペリアでの実用試験に成功し、地震多発地域として知られるカリフォルニア州の建築基準も満たしました。)

 

既存の木造建築とは異なり、どこにでもある“土”を建材に用いるので、環境に対しての付加も少なく、『土を袋に入れて積み上げる。』というシンプルかつユニークな建構造は、アーチ構造を原理としてアメーバ型、アーチ型、ドーム型の設計が可能で、複数の個体を繋げ、複合型の建造物へと進化していく事もできます。クリエイティブな作り手のイメージをそのまま形に出来る建築として、近年人気を集めています。

 

日本ではアースバッグ工法をワークショップ形式にて広める為に"日本アースバッグ協会-JEBA-"を2012年12月に立ち上げました。弊社では陶芸の手捻りのような工程で積み上げ、自由自在な形で表現出来ることから「土芸工法」と名付けています。

 

(アースバッグ工法には2種類あり『シングルバッグ』と『ロングチューブ』があります。個体を組み合わせるシングルバッグのアースバッグ工法は強度が劣る為、当方では強度のあるロングチューブタイプを採用し"土芸工法"としています。)
 

安定した曲線構造


曲線構造にはアメーバ型、アーチ型、ドーム型の3つの形状があります。この曲線構造を駆使することで、木造建築よりもアート的要素に富んだ
自由自在なプランが可能となります。

アメーバ型 

凸凹曲線によるレンガ積みの例(左の写真のようなアメーバ状の塀)として材料を25%節約できます。また、薄い壁でありながら互いにサポートし合い安定します。

 

アーチ

土を転圧することで圧縮し強度が増し、圧縮された躯体(構造体)はかなりの比重になります。加重に強いアーチ型に積み上げ、重さが加わることでより強く安定した躯体となります。

 

ドーム
ドーム型に積み上げた形は、卵の上半分によくにた形状です。この卵の形状は、実は自然界で最も強い構造と言われています。実際に卵を長て方向に持ち、握り潰してみると分かりますが、その形状の強さは、握力に自身のある方でも握りつぶす事が容易ではない事が分かると思います。

エコロジー素材快適環境



地球上のどこにでもある『

最近では、コンクリートや新建材による住まい、
舗装道路によって土が身近なモノでは無くなりつつあります。
ですが、土は太古の昔から使われてきた最も身近な自然素材であり、
大きな安らぎを与えてくれる必要不可欠な存在なのです。



安定した生活環境

"厚い壁"によって夏の暑い日差しや紫外線を守ってくれます。
また寒さの厳しい冬には蓄熱層となり、暖を持続させます。
さらに調湿機能を備えた壁は快適な環境を維持してくれます。
(2~3年は躯体に水分が残っているために調湿機器が必要です)

自由曲線表現力


小さなドーム空間を数多く連結させる。アメーバ型で迷路のような空間も作る事ができます。自由に設計でき、そのほとんどが実現出来ます。
また、植物の形状や果実の形状など、自然の中に見る事が出来る完成されたデザインを表現する事は、より自然のバランスに近づくヒントなのかもしれません。

また、作り手のイメージを具現化した空間は、実際に使い手にも多くの刺激を与えてくれることでしょう。柱や梁の無い“余白”の多い空間は、忘れていた子供心や冒険心を刺激し、人生をより豊かなものにしてくれます。

 

 

万年住居としての可能性
 

弊社では主材となる『土』を研究し、混合材によって石化できないか?と考えています。現状では水に弱いポルトランドセメントを使用している事から半永久性には課題があります。しかし、防水処理によっては200年以上の耐久性は期待できます。

古代から使用されているローマン・コンクリートは万年使える素材としての可能性を秘めている為、使用が実現すれば2000年〜1万年の住居としての保存も決して夢では無いと考えています。

 

現在の住宅の寿命が40年から100年という現状から考えるに、アースバッグがこれからの居住常識を覆す可能性は十分に秘めているのです。

古代セメントが使用され、2000年近くほぼ完全な状態で存在しているパンテオン

© 2015-2018 合同会社 DOGEI ART 建築研究所

【事務所/工房】 〒861-5348 熊本県熊本市西区河内町白浜1407-1